この記事のハイライト
● 売却した際の利益にかかる税金が譲渡所得税
● 譲渡損失が出た場合、損益通算や繰越控除をおこなうことができる
● 不動産売却時には、譲渡所得税以外にも税金がかかる
不動産売却をおこなう際には、譲渡所得税をはじめとしたさまざまな税金がかかります。
しかし、多くの方にとって不動産を売却する機会はほとんどないので、「どのような税金がかかるのか分からない」とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、不動産売却を検討している方に向けて、不動産売却時にかかる税金についてご紹介します。
東京都足立区および周辺エリアで不動産売却を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産売却でかかる税金は?譲渡所得税について
不動産売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合にかかる税金が「譲渡所得税」です。
譲渡所得税は、所得税と住民税、復興特別所得税の3種類の税金を総称したもののことを言います。
この中の1つの復興特別所得税は、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保することを目的としていて、2037年12月末までの期間限定で課税されています。
譲渡所得税の計算方法
不動産売却で得た利益(譲渡所得)は、売却金額から売却する不動産を購入した際の費用(取得費)と、売却する際にかかった費用(譲渡費用)を差し引いて算出します。
譲渡所得=売却金額-(取得費+譲渡費用)
さらに、譲渡所得には特別控除がありますので、この控除を譲渡所得から差し引いた額が「課税譲渡所得」となります。
上記の計算をおこない課税譲渡所得がプラスになった場合、課税譲渡所得に応じた譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得税の税率
譲渡所得税の税率は、売却する不動産の所有期間が5年を超えているかどうかで変動します。
所有期間が5年以内の場合は「短期譲渡所得」に該当し、税率は39.63%(所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%)です。
一方、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)となります。
ここで注意したいのが「所有期間は売却した年の1月1日現在でカウントされる」ということです。
そのため、ある年の4月1日に購入した不動産を5年後の5月1日に売却する場合、所有期間は5年未満(4年9か月)で短期譲渡所得に該当します。
短期譲渡所得と長期譲渡所得では、税負担が大きく変わってしまいますので、所有期間のカウントについてはくれぐれもご注意ください。
譲渡所得税は分離課税方式で計算する
通常、所得税は、給与所得などのすべての所得金額を合算し、税額を計算します。
しかし、不動産売却で発生した譲渡所得税は他の所得とは合算せず、分離課税方式で計算しなければいけません。
譲渡所得税額を確定させるためには、売却した翌年にご自身で確定申告をしなければいけませんので覚えておきましょう。
不動産売却でかかる税金は?譲渡益や譲渡損失時の特例
先ほどご紹介したとおり、譲渡所得税には特別控除などの特例があります。
また、譲渡所得税がマイナス(譲渡損失)になった場合にも、損益通算や繰越控除をおこなうことが可能です。
居住用財産の3,000万円特別控除
特例で代表的なものが、「居住用財産の3,000万円特別控除」です。
以下の条件を満たしていれば、この特例を受けることができます。
- 居住中に不動産売却をおこなう
- 転居している場合、転居日から3年後の12月31日までに売却している
- 災害で家屋が滅失した場合、滅失から3年後の12月31日までに売却している
- 家屋を解体した場合、解体日から1年以内かつ、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却している
所有期間や居住期間については問われませんので、多くの方が対象となる特例です。
ただし、特例を受けるために一時的に居住したと判断された場合や、売却する不動産が別荘などの場合は控除を受けることができません。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
売却するマイホームの所有期間が10年を超える場合、譲渡所得税の軽減税率が適用されます。
この税率は、課税譲渡所得が6,000万円を超えない部分にのみ適用され、税率は以下のとおりです。
- 譲渡所得が6,000万円以下の部分:14.21%(所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%)
- 譲渡所得が6,000万円を超える部分:20.315%
なお、この特例は「居住用財産の3,000万円控除」と併用することが可能です。
居住用財産の買い替え特例
マイホームの買い替えをおこなう場合、「居住用財産の買い替え特例」を適用することができます。
この特例では、マイホームの売却価格よりも買い替えた際の取得価格が高い場合、譲渡所得税の課税を次の売却まで繰延することができます。
ただし、あくまでも課税の繰延ですので、次に住まいを売却する際には繰延した分の税額を支払わなければいけません。
また、居住用財産の3,000万円特別控除やマイホームを売ったときの軽減税率と併用することができませんので、適用するかどうかの十分な検討が必要でしょう。
損益通算・繰越控除の特例
不動産を売却し、譲渡損失が出た場合には、「損益通算」をおこなうことができます。
損益通算とは、利益と損失を相殺することをいいます。
たとえば、給与所得が500万円の会社員の方が、不動産売却時に100万円の譲渡損失を出した場合、損益通算をして所得税の課税対象となる給与所得を400万円とすることが可能です。
さらに、譲渡損失が大きくて損益通算しきれない場合は、翌年以降の所得からも「繰越控除」をおこなうことができます。
繰越控除は最長3年間利用することが可能です。
不動産売却でかかる税金は?税金の種類について
不動産売却をおこなう際には、譲渡所得税以外にも以下の種類の税金がかかります。
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税
印紙税
印紙税とは、不動産売却時に締結する売買契約書に対して課税される税金のことをいいます。
印紙税の税額は、不動産の売却価格によって変動します。
- 売却価格が1千万円超5千万円以下:2万円
- 売却価格が5千万円超1億円以下:6万円
- 売却価格が1億円超5億円以下:10万円
印紙税は、契約書に収入印紙を貼り付けて、消印することで納税しますので、収入印紙の貼り忘れや消印忘れには注意しましょう。
適切な方法で納税をおこなわなければ、過怠税(印紙税額の3倍に相当する額)が課されてしまう可能性があります。
登録免許税
住宅ローンなどの融資を利用して取得した不動産を売却する際には、不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。
この際に課税される税金が、登録免許税です。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税の税額は、不動産1つ(1筆)あたり一律千円です。
なお、登録免許税は所有権移転の際にも課税されますが、ほとんどの場合は、買主が税額を負担します。
消費税
不動産売却時にかかる以下の費用には、消費税10%が課税されます。
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 司法書士に支払う報酬
- 融資手続きをおこなう際の手数料
司法書士への報酬や融資手続き時の手数料は、司法書士事務所や金融機関によって異なりますので、費用がいくらぐらいになるのかそれぞれ確認するようにしましょう。
まとめ
今回は、不動産売却をおこなう際にかかる税金の計算方法や種類についてご紹介しました。
課税譲渡所得がいくらかを算出する際には、取得費や譲渡費用に計上できる経費や特別控除などのさまざまな知識が必要になります。
計上できるはずの経費を見落としてしまったり、計算方法を間違えたりすると無駄な税金を支払わなくなければいけません。
「譲渡所得税がいくらかかるのか知りたい」「税金の種類が多くて良く分からない」という方は、不動産会社に相談しながら売却を進めていきましょう。
三敬商事株式会社では、東京都足立区を中心に周辺エリアの不動産売却のご相談を承っております。
不動産売却時の税金にお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。